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妻をめとらば〜晶子と鉄幹〜

 

  7月23日、名古屋の御園座で、藤山直美さんと香川照之さん主演の「妻をめとらば〜晶子と鉄幹」を観て来ました。

 今年の2月に「ヨイショの神様」を観て以来直美ちゃんとはご無沙汰でした。ネットで直美ちゃんが舞台をやっていることを知って「これは絶対観に行かねば!」と、慌ててチケットを買ったのはいいのですが、公演場所は名古屋!・・・新幹線で交通費が2万円以上かかるのですが頑張って行ってきました。

 ときは明治から大正にかけて、時代の先端を走る”情熱の歌人”与謝野晶子は、実は12人の子供を産み育てたスーパーお母ちゃんだったという事実にもとづいたお話です。自称老いぼれポンコツ歌人、専業主婦の真似事をする夫・鉄幹と昌子の葛藤・生活・愛情を前面に押し出した舞台でした。

 直美ちゃんは相変わらず素晴らしかった。状況のつかみ、セリフの意味する所の捉え方、声の出し方、体の使い方、微妙なニュアンスの伝え方等、感心しました。
なによりお芝居を楽しんでいることがこちらに伝わります。それも冷静で、舞台全体の雰囲気を感じ取りながら遊んでいます。とにかくセリフが上手い!観ている、聞いているだけで、ホロリと涙が出てきてしまいます。お父さんのDNAはもちろんですが、心のきめ細やかさは、人間を見つめる観察力・洞察力に関係します。彼女の目は本当のことを見抜く力と感性があります。それが演技力・表現につながっていると思います。

 それに対して共演者の方々は、一生懸命やっているんだけど自分だけでやっている感じで、声が届かず、セリフのニュアンスがこちらに伝わりにくかった部分もありました。
香川照之さんは、押さえ気味にキチンと自分をわきまえてがんばってやっていました。舞台経験が少ないのでまだまだですが、彼なりに工夫して楽しんでいる様は好感が持てます。NHKの「功名が辻」での六平太が印象に残っていますが、さらに芸域を広げていって欲しいです。

 脚本はマキノノゾミ・鈴木哲也、演出は宮田慶子、共演者は岡本健一、木下政治、小宮孝泰、太川陽介、匠ひびき、松金よね子他。前回観た「ヨイショの神様!」中村勘三郎、柄本明等の達者な役者がいた舞台と比べてはかわいそうですが、エンターテイメントとしての物語の進行のさせ方、舞台に引き付ける演出の力は物足りないでした。でも、かわいい子役が12人も出てきたので、楽しい舞台になりました。



劇場の前のポスター

御園座の中のおみやげコーナー