コラム目次に戻る


殿のちょんまげを切る女

 

  2月25日、新橋演舞場にて、中島淳彦・作、ラサール石井・演出、「殿のちょんまげを切る女」を観てきました。実は今回のお芝居、僕は直美ちゃんはNHK朝の連続ドラマ「芋・たこ・なんきん」で忙しいので、舞台は4月の「桂春団治」までないと勝手に思い込んでいたのですが、ふと新橋演舞場のHPを見ると、2月公演のお知らせパンフレットに直美ちゃんの名前が載っているではあ〜りませんか!慌ててネットで調べたら、運良く、楽日の一番前の席!がたまたま空いていて滑り込むことができたのです。

 幕末から明治にかけて、日向の国(現在の宮崎県)にある飫肥藩の藩主が、尊皇攘夷を掲げる薩長に加勢する隣国と戦い、藩の民衆のために髪を切って百姓になり、民衆に慕われ知事に推挙されるまでの物語です。心やさしいが優柔不断な藩主には中村勘三郎、本当は大工の娘なのに太閤秀吉の遠縁という触れ込みで嫁いだお姫様にはもちろん藤山直美、その媒酌人には大村昆、藩主の母上には波乃久里子、薩摩に加勢する隣国藩主には渡辺哲、藩校一の秀才には中村七之助、その恋人には岡本綾という顔ぶれです。

 おもしかった!昆ちゃんは「とんま天狗」になって殺陣を見せてくれて、なつかしく、カッコよかった!渡辺哲さんは、直美ちゃんとは「赤い夕陽のサイゴンホテル」で共演しているのですが、おの顔と声は迫力があり、はやりすごい存在感でした。七之助くんは初々しかった!英語で愛しているというのを「アイ・ブラ・ユー」というのがかわいかった。勘三郎さんのお殿様は、おとぼけぶりが上手で、戦いの最中、女装して逃げるときのとぼける様は大笑いでした。舞台のテンポもよく、脇役達も工夫を凝らして、飽きなかった。

 そして、今回のお芝居からはあるメッセージが伝わってきました。それは、国を良くするにはそこに住む人々との結びつきがあって初めて成し得るものだということ。政治が最初にあってそれについていくのではなく、いっしょに住んでいる人々のことを思い、人々のために生まれてくるのが政治だということです。もうひとつは、この世知辛い自分本位の世の中を少しでも変えていくには、相手の立場に立って、思いやりの心を育てることだということです。今、宮崎県の知事が話題になっていますが、このお芝居は宮崎のお話ですので本当にタイムリーでした。もちろん、「そのまんま」とか、「子どもを産む機械にはなりたくない!」とかのセリフが出てきたのですが、大受けでした。

 殿のちょんまげを切ったのは直美ちゃんですが、興奮しているときに切ったので覚えていないらしく、「あれっ、殿、どうしたのです?」とびっくりしながら叫んだのには大笑いしました。
直美ちゃんは本当に素晴らしかった!舞台に「切れ」と「愛情」が溢れていました。いつも、いつも、全力で舞台に上がる直美さん。だから、僕らは、笑い、涙を流し、明日への活力をいただけるのです。ありがとうございました。

 カーテンコールのときに、僕は手作りの「ちょんまげ」を頭につけて、拍手しました。それに直美さんと勘三郎さんが気づいて、わざわざ僕にお辞儀をしてくださいました。感激しました!お芝居を楽しんでいることが伝わったような気がしました。





    ちょんまげをしながら新橋演舞場のポスターの前でアホみたいに笑う川上