老人性白斑病と漢方薬
老人性白斑ってどんな病気?
よく老人の手や顔に色が抜け白い斑点ができているのを見掛けます。
この〝白なまず〟(白斑)は、見た目は皮膚病のように見えますが、細菌やウイルス、あるいはカビ類などの伝染症でもなければアレルギーなどの炎症性の皮膚炎でもありません。一般的に皮膚は内臓の病変を教えてくれる部位でもありますが、この白なまずは、まさにその内因によるもので人にはうつりません。
子どもからお年寄りまで発症し、ついには全身が白くなってしまう進行性白斑と、急速にかつ部分的に広がり1年前後で進行が止まる分節性白斑があり、そのままの状態が生涯続くと言われていますが、発症した人には大変な苦痛を伴います。
老人性白斑の原因
原因ははっきりと分かっていませんが、自己免疫疾患で肝臓でのメラニン色素をつくる細胞の働きが弱まるために起こると考えられています。
現在、治療法はステロイド剤、免疫抑制剤などの外用の他にオキソラレン療法が一般的で皮膚が光線に対して過敏になるオキソラレンのローションか、軟膏を白い斑点に塗り1~2時間、肌がピンク色になるくらいまで日光に当たります。
これを数カ月以上続け色素を再生させます。しかし確実な効果が得られるとは限りません。
漢方薬では「なぜその症状が起こったのか」ということを考えます。
老人性白斑の場合には、上述したように自己免疫疾患であることが多いため、直接的に免疫機能を損なうようなことがあったのか?それともストレスや食生活などの様々な原因が積み重なって免疫機能が損なわれてしまったのか?ということを問診して、症状の原因をつかみます。
老人性白斑の漢方薬での治療
漢方では、この白なまずは円形脱毛症と同じように肝鬱気滞(自律神経障害)と血瘀(血行不良)、また血虚などの状態で起こることが多いです。
またこれらの状態に伴い、皮膚の代謝機能も低下してしまっていることや加齢と共に「精」の不足が進んでしまう事も症状が出てしまう原因の一つであると考えます。
問診の結果から、原因がどのタイプなのかを見極めて漢方薬を処方していきます。
老人性白斑や尋常性白斑などは、風邪や急性の蕁麻疹とは違いしぶとい病気です。
完治までに1~2年かかってしまうこともありますが、根気強く・辛抱強く飲んでいくことで徐々に症状が軽快していきますので、諦めずに頑張りましょう。
この白斑病は、紀元前1500年頃にインドの聖典に記載されているそうです。大昔から長年人を悩ませてきたんですね。